2014年3月26日水曜日

DAY ONE 「Ordinary Man」


ラッパーのフェリム・バーンとマルチプレイヤーのマシュー〝ドニー〟ハードウィッジからなるブリストル産日常系ヒップホップデュオ、2000年のデビュー作。
MASSIVE ATTACK運営のVirgin傘下Melankolicより。

ドラムから鍵盤系まで、あらゆる楽器をハードウィッジが演奏。クラスの目立たなくて大人しい男子のようなバーンがぼそぼそライムを並べる。そこへPORTISHEADのツアメン:クライヴ・ディーマー、MASSIVEのアレでベースを弾いていたボブ・ロック、コレでロックと共に曲創りで参加していたティム・ノーフォークなどのブリストル界隈や、BEASTIE BOYSBECKとの仕事で著名なマリオ・カルダートJr、翌年にDFA Recordsを興すティム・ゴールドワーシーらがちょぼちょぼ手を貸す形を取っている。
曲創り自体は、ハードウィッジとバーンがセッションしながら組み立てていくらしい。
もう一度書くが彼ら、ヒップホップデュオである。

さてアルバムは、マッシヴ人脈らしいダウナーな曲調で淡々と進んでいく。明るそうな曲もあるが、どこかはにかんでいる。
M-03は模造ストリングスを背景に垂れ込み、ジャジーなギターへ小気味良いブレイクビーツを敷いていても、なぜか倦怠感漂うトラック。M-06は本物のストリングスを総勢七名呼んだナンバー。M-08など木枯らし吹き荒ぶヴァイオリンと、物悲しい旋律のピアノと、時折切り替わる乾いたリムショットが身を切るような寂寥感を演出する。
筆者として特筆したいのは終いのM-11。ほぼピアノ独唱のひっそりしたタイトル曲なのだが、『毎日、街を行く彼女を眺めていた。でもダメなんだ。掛ける言葉がない』から『もしボクがルックス良くて可愛い顔していたら』と続き、『ボクは単なるフツーの男だよ』と締める歌詞、強烈な非モテ臭がする。物凄く悲しくなってきた。

この通り、色々な面でヒップホップっぽくない。全てにおいてUKロックの触感がする。
くどいようだが彼ら、ヒップホップデュオである。
でも、形から入りたがるこの手の輩とは違い、ジャケを見ての通りのフツーの非リアあんちゃんが形(や身なり)に拘らず創っているからこそ面白い。目新しさはあまりないが、柔軟なアプローチが非常に新鮮だ。
まあそのゥ……今となってはちょっと古臭い音かも知れないが、非モテはダサくて当たり前だろう! だからこそ(音楽的に)美味しいのだ、と筆者は口を酸っぱくして力説したい。真似事でイキってもちっともヤバかねんだよ!!

M-01 Waiting For A Break
M-02 Bedroom Dancing
M-03 Walk Now, Talk Now
M-04 In Your Life
M-05 Trying Too Hard
M-06 I'm Doing Fine
M-07 Autumn Rain
M-08 Truly Madly Deeply
M-09 Love On The Dole
M-10 Paradise Lost
M-11 Ordinary Man
M-12 Fibonaccis Number (Bonus Track For Japan)

ボートラM-12は、シングルカットされたM-01収録曲。


0 件のコメント:

コメントを投稿