2012年12月24日月曜日

OM 「Advaitic Songs」


ベースとドラムのソリッドでハイブリッドなデュオ、2012年の五枚目。
レーベルは前作に引き続き、シカゴの大手インディー・Drag City

音をありのままに録ることしか興味のないスティーヴ・アルビニに仕切らせず、あくまで三名の共同録音者の一人に留める。代わりに前作では共同録音者の一人という立場だった、31 KNOTSでドラムを叩いている兼業エンジニア:ジェイ・ペリッチが束ねる。
それが功を奏したのか、プレイヤー二人のヴィジョンが完全に固まったのか。
お陰で本作、最小表現の袋小路に陥った三枚目、それを打破すべく暗中模索を始めた四枚目、と悩んで学んだ彼らがようやく開眼した。

基本線はベースとドラムを軸に、穏やかさと相反するひりひりとした触感が共存する〝聴く涅槃〟。ベースを兼任するアル・シスネロスのヴォーカルは歌唱よりも詠唱に近い。
前作はその方向性により、タンブーラ(インドの弦楽器)と中近東音階をただ用いてエスニック風味を出しただけだったが、本作はそこへバリバリの西洋楽器・ヴァイオリンやチェロを厚く絡ませ、見事に同化させることに成功した。
まるで違和感なく中東と西洋が血肉と化しているのだから、これこそ正しくハイブリッド。

賞賛すべき点はそれだけではない。録音状態も素晴らしい。
伝わりやすく表すならば、四枚目より叩いているエミール・エイモスのドラム。独特のビート感を持つ彼のプレイが立体的に聴こえる。各シンバルの位置が明確に聴き分けられ、しかもタムが左右に移る様まで把握出来る。
この生々しさと空間処理、前二枚をアルビニに投げた委ねた効果やも知れない。

ここまで来るともはやハードコアですらない。M-02で久々にベースを歪ませても、その音が欲しかっただけにしか聴こえなくなっている。あくまで題材でしかない宗教臭さもそれほど気にならないはずだ。
限定されたイメージの中で、熟成された音世界が無限の可能性を示してくれる傑作。

M-01 Addis
M-02 State Of Non-Return
M-03 Gethsemane
M-04 Sinai
M-05 Haqq Al-Yaqin



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