2012年2月6日月曜日

HINT 「Portacabin Fever」


英国はサセックス出身のブレイクビーツのび太くん、ジョナサン・ジェイムズによる2003年発表の初アルバム。
レーベルはブリストルのHombre Recordingsと、大手インディーズNinja Tuneの連名。本作がHomble最後のアルバムリリースとあって、いろいろ事情があった模様。
それについて邪推から紐解かれる結論を述べさせていただけば、「本作での音楽的発言権はNinjaが上」ということ。それはもう、圧倒的なくらいに。

本作はそのくらいNinja Tuneのカラーが強い。
当ブログで頻繁に紹介されるNinjaのイメージは〝ジャジーなブレイクビーツレーベル〟かも知れない。だが本来は、まったりと地味に進行するトリップホップ(嘲笑)がレーベル黎明期の屋台骨を支えていたことを忘れてはならない。
その代表格であるBONOBOと交流のある彼。ならば音世界は決まったようなものかも知れない、幸か不幸か。

ただ、同じ音世界だからと一緒くたにするのは良くない。何せ創っている者が違うのだから、HINTなりの特色も淡く出る。
まず、本作でジェイムズは自らギターとベースとキーボードを弾いており、生音混合のインストブレイクビーツ作品であること。
叙情的なメロディを立て、分かりやすく丁寧にトラックを紡いでいること。
各トラック自体にそれほど統一した音楽的主張はないものの、静かに調べられたピアノにKID KOALAばりの温いスクラッチが絡むM-03から、イントロからシネオケを彷彿させどきりとするM-06を経て、数多くの生音色の上モノを破綻も嫌味もなくさらりと織り込むアルバムの総決算的M-11まで、借り物では終わらない感性の持ち主だと分かる優良トラックが粒揃いなこと。
まだビートパターンにやや未熟さを残しているが、まだ初作品だ。個性だって続けていけば後から付いてくる。キラーチューンはこの音楽性でさほど必要ない。

温かい目で見守ろう。
こののび太は出来るのび太だ。やれるのび太なんだぞ、ジョナサン!

M-01 Actory
M-02 The Look Up
M-03 Words To That Effect
M-04 Why The Top Ten Sucks In 2002
M-05 You Little Trooper
M-06 Re:percussions
M-07 Quite Spectacular
M-08 Plucker
M-09 Shout Of The Blue
M-10 Count Your Blessings
M-11 Air To The Sky


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