2012年1月24日火曜日

CLARK 「Totems Flare」


ミスター前言撤回にして、そろそろキングオブワープと呼ぶべきなクリストファー・ステファン・クラークもとうとう五枚目。2009年作。

元から次に何を演ってくるかさっぱり見当が付かない男、どうせ前作のアッパーフロアユース路線などかなぐり捨てやがるだろうと思っていた。
だが実際に聴いてみれば、何とも言い難い表情で頭上にクエスチョンマークをいくつも浮かべている筆者が居た。
意味分からない? いや、そういう訳じゃないんだけど……。CLARKっぽくない? いや、紛れもなくCLARKの音なんだけど……。
駄作? 全然!

電子音主体の構成で、相変わらず音色使いははちゃめちゃ。むしろ更に研ぎ澄まされている。曲によっては速いBPMでガンガン来るアッパーチューンもある。
ただし、前作で衝撃的導入となったシンプルな四つ打ちをばっさり排除。フロアで素直に踊らせてくれないビートに挿げ変わっている。
ああ、裏の裏は表か……。
一方の上モノだが、従来の〝CLARK節〟もありつつ、M-07に代表される二世代くらい前の使い古された音色をさり気なく織り込む手口も。だが、テクスチャはあくまで現代風だったりする荒業。最初期音源「Throttle Clarence」を髣髴とさせる。
かと思えばM-11で、ギターを爪弾くノンビートの素朴なトラックで締める。『何で今更生音っ!?』と意表を突かれて首を傾げていれば、日本のみのボートラで眉間にしわが寄る。
何と、二十分にも渡るドローンアンビエント。それ自体は今まで地味にちょこちょこ織り交ぜてきた手法だが、ボートラでこんな長々としたモノを持ってくる神経を疑う――と言うかコレのお陰で、ある意味日本盤はスペシャルな商品になった。ありがとう。

あー、もうメチャクチャ。やりたい放題。
いやいやコレ、過去の総決算じゃね? いわゆる一歩後退とか保守路線とかその類じゃね? と言われてもにわかに納得出来ない。なにせCLARKだから。
とは言え、生成した音を脳内で全て把握している彼のこと、聴き手のこんな反応も想定内なんだろうな。にやにやしやがって、くそっ。

M-01 Outside Plume
M-02 Growls Garden
M-03 Rainbow Voodoo
M-04 Look Into The Heart Now
M-05 Luxman Furs
M-06 Totem Crackerjack
M-07 Future Daniel
M-08 Primary Balloon Landing
M-09 Talis
M-10 Suns Of Temper
M-11 Absence
M-12 Steepgrass Five (Bonus Track For Japan)


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