2011年8月26日金曜日

SUNN O))) 「White 1」


アメリカはシアトル出身のステファン・オマリーとグレッグ・アンダーソン、二体の重低音魔人による三枚目。2003年、アンダーソンの所有するSouthern Lord Recordsから。
ちなみにユニット名は〝サン〟と読む。後ろの〝O)))〟は音響の文字化のため、発音しない。顔文字みたいなモンですな。

音世界は聴けば目つきが悪くなる、殺気を伴った重低音を延々とギターでひり出し、聴き手の心に重石を載せていくアレである。そうそうアレ、アレ
彼らはそのアレへの愛を高らかに宣言する危ない熱い連中である。あまりにも好き過ぎて向こうが再結成した際、自分たちのレーベルに引き込んだくらい。
つまりアレのフォロワーだが、彼らの凄いところはアレの影響を残しつつも、アレとは別の方向でヘヴィドローン音楽を確立させてしまったことにある。

具体的に言えば、アレは荒涼とした大地を思わせるスケールの大きいヘヴィドローンだが、SUNN O)))は呪術的でまるで儀式を思わせる漆黒の音世界を提示してくれる。
しかも音に対する探究心が並外れている上に、(こんな暗黒音楽を創っていながら)非常に社交的なので、ゲストミュージシャンをどんどん迎えてその血/知をどんどん吸収する。
こうなれば、音は自ずと深化していく。

まずはポエトリーディングを詠うジュリアン・コープの背後から覆い被さる重低音ノイズとヘヴィリフの大波、M-01で幕開け。
THORR'S HAMMER時代の同僚であるランヒルド姫(北欧美人)が、あの悪魔に憑かれたようなデス声ではなく無機質に祖国・ノルウェー民謡を歌い上げる裏で、チープでいびつな打ち込みビートが心をかき乱すM-02。
ゆっくりと、濁った眼で行進し続ける黒衣の者どもに捧げる葬送曲、M-03。
いずれも十五分越えの長丁場。
ランタイム、たった58:40の永遠。
やみ。

こんなのが普通に聴けてしまう音楽人生なんて嫌だなあ……なんて思った頃も筆者にはありました。
だが実際に触れてみると思いのほか身体に沁み入るのです。何でしょう、根が暗いからですね? ああそうですよ。
でも人間って、闇と共存しているようなモンなんですよ?

Disc-1
M-01 My Wall
M-02 The Gates Of Ballard
M-03 A Shaving Of The Horn That Speared You
Disc-2 「LXNDXN Subcamden Underworld Hallo'Ween 2003」
M-01 The Libations Of Samhain
M-02 SunnO))) Vs Diggers 4th November 2003

Disc-2は日本盤のみのボーナスディスク。M-01はライヴ。M-02はラジオインタヴュー。


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