2011年5月4日水曜日

KHANATE 「Things Viral」


暗黒音楽界の手だれが雁首揃えた、2003年作の二枚目。

全くもって酷い音である。
ギターはリフを奏でず、耳障りなフィードバックを搾り出すことに終始している。ベースは重く低い持続音をひたすら継ぎ足し続ける。ドラムはビートを刻む本来の役目から逸脱して、打楽器の叩き出す音のみを欲する。ヴォーカルは喉から絞り出すような慟哭にも断末魔にも似た叫びと、呪詛のような呟きを使い分ける。
この四つの音が拡散し、ドが付くほどの低速度であっという間に聴き手の嫌悪感を植え付けていく。こんな音楽性なのに即効性があるのには、ほとほと驚かされる。
『音楽ってのはー〝音を楽しむ〟モノだしー』と、暢気なコトを抜かす輩に現実を突き付ける、全くもって底意地の悪い音である。

ただ〝音を楽しむ〟方々が、こんな悪夢のような音源を手に取ろうなんざ思いもしないだろう。まかり間違って聴いてしまった際、ほとんどのケースでこう口にされるだろう。
『何コレ。音楽じゃない!』
残念ながら、創り手が明確なヴィジョンを有して音を弾き出している以上、コレはれっきとした〝音楽〟である。世界は広いね(ニッコリ

理解出来ないモノに出遭ってしまった場合、いちいち対峙せず、なかったコトにした方が精神衛生上良い。

それなのに、彼らの〝明確なヴィジョン〟とやらが『全ての聴き手の心を音で陵辱する』だったりしたらどうする?
軽快さや起伏などこれっぽっちもなくて、暗く閉じ籠ったような空気で、不快感や不安感を引き出すような音色で、記憶に焼印を押すかのようなインパクトで、陰惨な六十分を繰り広げる。
日本盤は更に約三十分・三曲のボーナスディスクを追加して、嫌がらせ度を増す。
この悪夢が頭から離れないのは、彼奴らの暴力に屈してしまった証だとしたらどうする?

『母なる大地よ、父なる神よ、聖なる霊よ、そこに希望はあるのですか?』〝Commuted〟

Disk-1
M-01 Commuted
M-02 Fields
M-03 Dead
M-04 Too Close Enough To Touch
Disk-2 (Bonus Disk For Japan)
M-01 Reh / Improv 1103
M-02 No Joy (Remix)
M-03 Commuted (Coda)


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